2022年8月5日
今回は、以前開拓したアメシスト産地で、その残りを回収してきました。
脈延長部や平行脈が無いかを確認するだけのつもりで今回訪れた訳ですが、幸運にも、再び素敵な水晶を得る事ができました。
前回は掘進に夢中でしたが、せっかく鉱脈露頭から採集できる機会なので、シロウトなりに詳しく観察しつつ、採集を行いました。
その露頭がこちら。
は?鉱脈どれ?って感じですが、大抵はこんなもん。左上~右下に延びる、ぼんやりした赤茶色の部分(Quartz vein)がそれです。
母岩である頁岩は、変質を受けて粘土鉱物を生じているようで、軟化しています。
特に、石英脈と接する部分では、完全に白っぽい粘土に変質して、ネチョネチョしてました。写真では、脈の上盤側に白っぽい筋として写っています。
石英脈を取り出したもの。濃い紫の粗粒な結晶が、不規則な方向に成長しています。
ただし、このような部分はごく一部で、ほとんどは全く空隙の無い白色石英。その一部が半透明~透明石英に漸移して、更にその中心付近に紫石英ができるっぽいです。
脈幅はだいたい5~7cm程度で、露出している部分はほとんど直線の脈でした。頁岩のような、明瞭な層理面を持つ岩石が母岩の場合、脈は直線的になりやすいようです。
そんなところで、成果物に移ります。
SiO2
ガマ出し魅惑のアメシスト。
ガマというと、空洞の中に煌びやかな結晶が乱立している様子を想像するかと思いますが、実際には、破砕された母岩と脈が主体の土砂に、分離した状態の水晶が含まれているパターンが多いです。
ちなみに、土砂とは言っても、多くの場合、二次的に生じた酸化鉄などで膠結されているため、シャベルで簡単に掘り出せる、というようなものではないです。
これは透明度が高く、明瞭なファントムが見えます。結晶成長の途中で、条件の変化があったという事でしょうね。
紫っぽいモノ達の集合写真。どういう訳か、濃い紫に着色しているのは大きな結晶のみで、小さい結晶は無色に近いです。根元だけ紫が見えるものが希にありました。
ズリから採集されたものと違って、結晶の先端や稜にスレが無くて美しいです。
正長石 Orthoclase
KAlSi3O8
いわゆる氷長石。熱水変質帯では、よく現れる鉱物と思います。
標本価値は皆無ですが、アメシストを生成した熱水が、どのような性質だったのかを知る手がかりになるかと思い、一応拾ってきました。
この他に各種硫化物と、その分解生成物がみられましたが、さすがに拾いませんでした。