野山にまじりて、石を割る。

栃木県と周辺の鉱物。

2022年7月1日~2日(その3)

水晶や柘榴石といった、誰が見ても分かる鉱物というのは、採集による強い淘汰圧にさらされ、既に絶滅しているか、ロクな物が残ってない場合が多いですよね。

一方、地味で細かな物たちは、メインターゲットにされにくい分、案外良いやつが生き残ってる場合があります。

最近は、そういう地味な物たちを探す方が、面白いと感じるようになってきました

 

くさび石 Titanite

CaTiSiO5

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あまり確信は無いですが、石英中の橙色楔型結晶がそうだと思います。

色が同定の鍵にならない鉱物は、結晶形が明瞭じゃないと、良く分かりません

くさび石は副成分鉱物として色々な岩石に含まれますが、肉眼的な結晶を探すとなると、産地は限られるようです。

 

菫青石 Cordierite

Mg2Al4Si5O18

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沢で拾った妙な岩石。白く縁取られた、黒い結晶が多数含まれています。

気になって、持ち帰り観察したところ…

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暗紫色ガラス光沢の結晶が、黒い結晶に混じっていくつも含まれていました。

ここでの産出は(私が知る限り)聞いたこと無いですが、たぶん菫青石だと思います。

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黒い部分は、降温過程で緑泥石などに置換された仮晶かと想像しています。

分析した訳ではないので鉱物種は確定ではありませんが、これは少し驚きました。