野山にまじりて、石を割る。

栃木県と周辺の鉱物。

2022年7月1日~2日(その2)

秩父鉱山とその周辺は、産出鉱物が多種多様で、何度訪れても飽きさせない産地です。

国内のスカルン鉱床は大きく分けて、灰鉄輝石中の鉛・亜鉛鉱石を主体とする神岡型、柘榴石中の鉄・銅鉱石を主体とする釜石型、そして秩父鉱山を筆頭とする秩父型の3つに分類されます。

秩父型は、神岡と釜石、両方の鉱石を併せ持ち、更に多量の黄鉄鉱(とマンガン)を伴う事が特徴だそうです。この辺が、産出鉱物の多様さに関わっているのかもしれません。

 

ベスブ石 Vesuvianite

Ca19Al11Mg2Si18O69(OH)9

f:id:aten_the_miner:20220709213603j:image

方解石に埋没するベスブ石。結晶約5mm。このレベルならまだ無限にあります。

柘榴石と似ていますが、ベスブ石は含水鉱物なので、若干みずみずしく見えます。

なお、結晶内部は不可視のクラックだらけなので、割っても酸処理しても、大抵の場合崩れ去るのみです。

結局のところ、自然の風化で現れた面が、一番美しいんですね

f:id:aten_the_miner:20220709213618j:image

これはやや緑っぽいタイプ。

所々に尖った四角柱の結晶が見えます。これもクラックだらけですが、溶け出した石灰分で固結されて、結晶の形を保持しています。

 

霰石 Aragonite

CaCO3

f:id:aten_the_miner:20220710224226j:image

方解石に置き換わってるとの噂もありますが、とりあえず霰石と思う事にします。

方解石とベスブ石から成る露頭が、霰石の脈に切られていて、その脈の空隙に柱状結晶がたくさん生えていました。

 

鉄斧石 Axinite-(Fe)

Ca2FeAl2BSi4O15(OH)

f:id:aten_the_miner:20220711104637j:image

長らく後回しになってた斧石。今回、ようやく探してみましたが、あまり良いのは見つかりませんでした。

しかし硼素は好きなので、誰かが捨てたやつをとりあえず頂戴しきてました。