2022年10月8日~9日
銀黒ツアーと題しまして、伊豆半島各所で含金銀石英脈だけを拾ってきました。若干ストイックなツアーと思います
伊豆はご存知の通り、金・銀の産出地として古来より有名で、160箇所に及ぶ露頭が見いだされています。多くは安山岩など中性~塩基性火山岩類に伴う含金銀石英脈で、銀黒といわれる縞状・皮殻状の鉱石が有名ですね。
各鉱床ごとに石の雰囲気に違いはありますが、正直だいたい一緒だし色々と面倒なので、記事は全部まとめて一つにしました。
自然金 Gold
かつて採掘された含金石英脈が、海中で円磨されたもの。個人的に、現地性が担保されない円礫はあまり好まないのですが、これは例外的に結構気に入ってます
海中で石英どうしが擦れ合うと、バレル研磨を施したようになり、かなり平滑な研磨面が現れます。すると破断面では視認不可能であった自然金などが、けっこう簡単に見つかるようになります。
また、黄鉄鉱などの硫化物に埋没していた自然金も、硫化物の風化・溶脱が進み、見つけやすくなる効果があるようです。
針銀鉱 Acanthite
Ag2S
石英脈中の黒色縞状部分。上端は晶洞内壁。
こちらは一般的なズリで得られたもの。やや空隙の多いガサついた感じの石英脈で、酸化鉄の汚染が目立ちます。
黒色部分の拡大。この画像では分からないですが、細かい自然金?を伴っています。
破断面に、ささくれ立っている部分があることから、針銀鉱などの可塑性を有する鉱物が含まれていると判断しました。当たってるかどうかは分かりません。
黄鉄鉱 Pyrite
FeS2
外観的には、石英脈に濃黒色の縞状構造がはっきりと現れており、高品位の銀黒鉱石のように思えます。
しかし、似たようなサンプルを顕微鏡で観察すると、結構な量の微細な黄鉄鉱が含まれていました。Au・Agの含有がゼロという事は無いにしても、おそらく黒色部分は黄鉄鉱が優勢のような気がします。