2022年5月28日
群馬県みどり市、草木ダム周囲に分布する、花崗閃緑岩質のマグマ(いわゆる沢入岩体)は、基盤の古生層の岩石(泥岩やチャートなどの堆積岩類)に広い範囲で接触変成作用をもたらしました。
冷え固まったマグマは石材に、接触変成を受けた岩石にはマンガン鉱床が、かつて資源として利用されてきました。
今回は、マグマ本体ではなく、接触変成で生じた鉱物たちを探しに行ってきました。
パイロファン石 Pyrophanite
MnTiO3
去年のクリスマスに、山中の凍った坂道で車がスタックしかけて、泣きながら下車した時に偶然見つけた鉱山産。
みどり市に数ある変成マンガン鉱床でも、最もマグマ(花崗閃緑岩)に近い鉱床のひとつ。
そのためか、マグマからもたらされた(とされている)チタンの鉱物が頻繁にみられます。
マンガン重石も似たような感じで出ますが、結晶形が明瞭でないと区別困難と思います。
紅柱石 Andalusite
Al2SiO5
暗灰色四角柱状結晶。一般には赤色系統の色が多いですが、母岩由来の炭質物(というか石墨)の影響で、ほとんど黒に見えます
母岩はホルンフェルス。変成岩あるあるですが、新鮮なものは馬鹿げた堅さ。
ちなみに、マンガンを含むものは鮮やかな緑色を呈し、ビリディンと呼ばれます。
この地域にはマンガン鉱床が山ほどあるので、元素だけ見れば揃う環境も存在しそうですが、今のところビリディンは片麻岩からしか見つかっていないそうです。
菫青石 Cordierite
Mg2Al4Si5O18
ホルンフェルスに斑状で現れる、ガラス光沢のある部分は、だいたいコイツ。
単体では無色のはずだけど、雲母や炭質物や硫化物が混在するためか、見た目にはほとんど黒に見える事が多いです。
なお、分解が進んだものは雲母に置換されるため逆に真っ白で、桜石とか呼ばれる
まれに青みを帯びた斑状部分も見かけるけど、ガラス光沢を失ってるものは、既に雲母化していると思った方が良いです。